Saturday, June 13, 2015

生きた法身

以下は、2010年のシンガポール瞑想会におけるティク・ナット・ハン法話からの抜粋です。次のビデオを 1:32:50 から 1:44:48 迄ご覧ください。


引用:
仏教では、ダルマカーヤ(dharmakaya)という表現があります。それは、法身(ダルマの体)を意味します。法身は多くの意味を有しているかもしれませんが、最も単純な意味はあなたの「実践」です。全ての仏教徒は、自分の法身を持っているべきです。この法身はまだ弱いかもしれません。そして、実践者は自分の日常生活の中で困難に対処する方法を知りません。ですから、あなたの法身が強い体に成長するのを助けることは非常に重要なのです。

仏陀だけが自分の法身を持っているのではなく、私たちの一人一人もまた自分の法身を持っています。良い法身を持っていると、私たちは自分の痛みや苦しみに対処することができます。強い法身を持っていると、私たちは困難を克服し、困難な状況から抜け出せます。強い法身を持っていると、私たちは他人が自分の苦しみや困難から抜け出すのを助けてあげることもできます。

しかし、私たちが「実践」という言葉を使用すると、「法身」という言葉を使用するよりも、人々にはより理解しやすくなります。もし、あなたが良い実践をお持ちなら、もはや恐れることはないし、あなたがどこへ行こうとも、実践を自分と一緒に持っていき、あなたが遭遇するどんな困難にも直面して対処することができます。

あなたは、話された法書かれた法生きた法を区別できます。私たちがここで話す実践(法身)は、話された法や書かれた法ではなく、生きた法です。生きた法は、私たちが実践によって発生させるマインドフルネス、集中、洞察のエネルギーです。あなたがマインドフルな呼吸を実践する時、マインドフルネスと集中のエネルギーを発生させます。あなたがマインドフルな歩行を実践する時、マインドフルネスと集中のエネルギーを発生させます。

あなたは法については何も書きませんが、また、法については何も言いませんが、あなたは実践によって生きた法を生み出しています。ですから、私たち各人は法身や実践が十分に強いものかどうかという質問をしなければならないのです。もし、私たちの実践が十分に堅実であれば、私たちの日常生活の中で遭遇する困難を恐れなければならない理由はありません。私たちが法のマインドフルネスを実践する時、私たちは自分の法身(実践)を強固にする方法やその成長を助ける方法を知ります。

そして、あなたの法身を知り、栄養を与える最善の方法は、サンガ(僧)です。サンガは、生きた法を発生させることができる人々の共同体です。私にとっては、法について話し、法を学び、法を書き留めるだけの共同体は、まだ本格的サンガではありません。真のサンガは、メンバーの誰もがマインドフルネス、集中、洞察のエネルギーを発生させる方法を知っている共同体です。そして、真のサンガは真の法、即ち生きた法でできていると言うことができます。

多くのアジア諸国では、サンガは僧侶だけで作られると考えられていました。しかし実際には、サンガは強力なサンガである在家を含むことができます。あなたがある共同体と暮らす時、誰もがマインドフルネス、集中、洞察のエネルギーを発生させることができる共同体で自分を見い出す時、あなたは生きた法が存在することを知ります。ですから、真のサンガは真の法、即ち生きた法でできていることを理解することは簡単です。生きた法がある所には必ず、仏陀もまた居るのです。

私たちが仏陀を探すのに最も確実な場所はサンガです。なぜなら、真のサンガには、生きた法があるからです。生きた法がある所には必ず、仏陀が居ます。私たちの多くは、どこで仏陀を見つければ良いのかという質問をします。私の答は、真のサンガこそあなたが仏陀を見つけるのに最も確実な場所であるということです。私たちが堅実な仏身を持っているなら、私たちはまた自分の中に仏身を持っていることを意味します。私たちの多くは、仏陀だけが仏身を持っていると信じています。しかし実際には、私たち一人一人が自分の中に仏身を持っています。そして、生きた法を実践することによって、自分の中に包含された仏陀が日々益々強く成長するのを私たちは助けます。
:引用終わり

(参考)https://www.youtube.com/watch?v=lrd2Xzi2iug

ティク・ナット・ハン