Wednesday, November 2, 2016

「空」と般若心経 (2)

次の10月15日のブログをご参照ください。
http://compassion5151.blogspot.jp/2016/10/blog-post.html
私は以下の通り述べました。
引用:
般若心経では、次の4行が非常に有名です。

「色不異空」:物は空に他ならない。
「空不異色」:空は物に他ならない。
「色即是空」:即ち、物は空である。
「空即是色」:即ち、空は物である。

しかし、これらの4行の前に、次の4行が欠けていると、私は感じます。 

「若此有則彼有」:それが有るからこれが有る。
「若色有則空有」:空間が有るから物が有る(存在できる)。
「若空有則色有」:物が有るから空間が有る。
それ故に、

ですから、理解しやすくするために以下の通り、「空」を「空間」に置き換えた方が良いでしょう。

「色不異空」:物は空間に他ならない。
「空不異色」:空間は物に他ならない。
「色即是空」:即ち、物は空間である。
「空即是色」:即ち、空間は物である。
:引用終わり

上記は、現象界、即ち歴史的次元における究極の真理です。本体の世界、即ち究極の次元とは何の関係もありません。私は今、以下の通り、般若心経で有名な4行はまた、現象界と本体の世界の間の関係も説明していると感じます。


「若色有則空有」:本体の世界が有るから現象界が有る
「若空有則色有」:現象界が有るから本体の世界が有る。
なぜなら、本体の世界は現象界へ(包み込んだものを)開いている。(現象界は本体の世界からできている。)
そして、現象界は、本体の世界へ包み込んでいる。(本体の世界は現象界からできている。)

ですから、下記の通り、現象界と本体の世界の間の関係を表現するために、「物」を「現象界」と置き換え、「空」を「本体の世界」と置き換えることが可能です。

「色不異空」:現象界は本体の世界に他ならない。
「空不異色」:本体の世界は現象界に他ならない。
「色即是空」:即ち、現象界は本体の世界である。
「空即是色」:即ち、本体の世界は現象界である。

現象界はこの世界を意味し、本体の世界は涅槃を意味します。ですから、最終的には般若心経で有名な4行は以下の通り、読み取ることができます。

「色不異空」:この世界は涅槃に他ならない。
「空不異色」:涅槃はこの世界に他ならない。
「色即是空」:即ち、この世界は涅槃である。
「空即是色」:即ち、涅槃はこの世界である。

しかし、般若心経で有名な4行を上記の通り読み取ることができるようになるには、「大きな条件」があります。私たちが目覚めた意識、即ち本当の自分(独立していない自己)を復活させる場合にのみ、私たちは般若心経で有名な4行の真の意味を理解することができるのです。なぜなら、目覚めた意識だけが時間と空間を超越することによって、この世界(現象界)と涅槃(本体の世界)を同時に生きることができるからです。エゴ、即ち独立した自己は、現象界だけに生きていますので、真の意味を理解することは決してできません。更には、般若心経で有名な4行は、以下の通り説明され得るでしょう。

「色不異空」:体は阿頼耶識に他ならない。
「空不異色」:阿頼耶識は体に他ならない。
「色即是空」:即ち、体は阿頼耶識である。
「空即是色」:即ち、阿頼耶識は体である。